倫理の所在

2005年11月5日
詳細は省くけど、ここ数日「著作権問題とそれに関する記事」を読む機会が立て続けにあった。

私も仕事・同人と両方でいわゆる<パクリ>をされたことがある。
その時は「オリジナル(原型)に魅力を感じたからやるわけで、むしろ褒められたようなもんだろう」と楽観していた。
どれも相手が(一応)素人だったし、場所が同人誌の一枚イラストや幼年雑誌の読者コーナーだったりしたせいもある。
(私が大好きでよく描いていた某ゲームキャラの「私しか描かないバージョン」はゲームの布教活動みたいなもんだったから、それは広まってくれてこっちがニヤリって感じだった)

美術の専門学校時代。
もちろん著作権について習ったけど、同時に「パクリやパロディはこの業界の常でもある」と言うことも習った。
そこでいわゆる「パチモン」の存在を知り「プロがやったら犯罪だろ!!」と思ったが、ブームにつきものの現象、と言うのが現実なのだそうな。
私も、実感はしている。

しかし今回読んだいくつかの件で、(ファンではなかったけど)センスが抜群だと思っていた人が検証されていて、それがどう見ても盗作でしかなかったのでかなりショックだった。
オマージュとかパロじゃなくて、ついでにパチモンでもなくて、本当にただの<盗作>。
オマージュ、引用、パロ…と線引きは難しい所だけど、それにしてもあまりの(証拠の)数にガクゼン。
あれだけの数を「使用」してるとなれば、もはややってる側にとってはいつものことなのだろう…。
憧れが高じて好きな漫画家の絵を写してるという「段階」は、誰にでもあると思うけど…。
ちなみに内一人は歌手で、プロモ映像やジャケットが海外の方の盗用らしい。
(あの組み合わせセンス、好みじゃないけど感心してたのに…苦)

ネットにしろニュースにしろ情報を丸呑みするのはよくない。
それはわかってるつもりだし、家人にも「視野が狭まらないようにね」と警告を受けた。
加えて私は自分の欠点が「森は見えないけど木はよく見える」ところだと知っている。
しかし信用に値するものが目の前に一切存在しないわけではない。
信用に足る記事を多数目にして、なんだか虚しくなった。

それとまた別件で、好きなサイトさんに盗作を発端に迷惑をかけた人がいることを知った。
盗作自体もちろん悪いのだが、盗作された人の正当な抗議に対する対応があまりにひどくて絶句した。
被害を受けた方からの情報を集めまとめたページを読んだら、そのものすごさにまたビックリ。
当人のオフラインでの環境がいっそ心配になるほど非常識だった(どんな非人間的な環境で育ったのかと)。

かなり前、某映画好きの漫画家が映画やポスターの構図をまんま使ってると言う話を知った時は「まー何の元ネタもなしに週間連載してたら嘘だよな」程度に考えてた。
更に一癖も二癖もある人だったから「映画パロディだらけの映画」みたいにジョークで入れてるんじゃないかと思っていたが、当時大ファンだった人はすごいショックを受けていたっけ。
今もその方に関しては「ジョークってレベルなんだろな」と捉えているけど、クロマティ高校が訴えられた事もあるし(?)「事が起きたら大丈夫じゃあないだろうな」とは思ってる。

ああいうのって感性と言うか習癖のものなんだろうか。
やらない人が「絶対やらない!」って思ってる人と同じ感じで、やる人は「やってもいいじゃん」と思ってやるのかもしれないな。
もともと倫理観に差があるなら、その溝を埋めるのは難しいわけか…。

モノを作る人は、大体尊敬する人に影響を受けているものだと思う。
私だってオリジナル作品を版権作品と一緒にアップしているけど、中には「このオリジナル、この作品のキャラがもと?」って思われるものがあるかもしれない。
(いや…ないだろな、多分。(汗))
誰にでも好きな「傾向」があるから、似たキャラ、似たジャンルにはまる事はよくある。

でも、モノを作る人って必ず、「既成にないもの」を作りたくてモノヅクリしてるんじゃないのかな?
そして自分の能力を駆使して、他人とは全く違った頂点を目指すんじゃないのかな?

印象的な場面や台詞、素敵だと思った服やデザイン、それを描いてみたいという気持ちは私にも起きる。
でも、それはあくまでファンとしてのファン活動(もしくは趣味のラクガキ程度)であって、創作家が自分の作品にしてはいけないと思う。

既成の型をまねた方が人がとっつきやすいから、「こんな感じ」って条件出されることはどの業界にもあると思う。
実際私も「あれによく似たのをお願いします」って頼まれたことがある。
(だから著作権とかに疎いとゆー意味の<素人さん>からの注文は本当に怖い…)
もちろんその時は法律を説明して、その上で何とか要求されたものに条件は近づけて作成はしたけれど、そのままの条件は絶対飲めなかった。
だっていくら依頼だからって、それを呑んでしまった以上は請け負った描き手が悪いんだもの。
しかも大元に訴えられたら、業界から抹殺されるの明確だもの!!

私は確かに同人やパロやってるけど、…やってるからこそって言うのかな、大元を「侵害」することは絶対したくない。
未熟者だけど、創作と言う点でインスパイア、オマージュ、パロディ、引用と言うラインは常に意識していたい。
自分の品性だってそれなりに守りたいし。

某監督にも一時「もうやめてくれないかなぁ…」と思ったことがある(苦笑)。
「このキャラあの作品からイメージしたんだろなー」程度はいいんだけど(本人もモデルはあれと言ってる部分)、完全オリジナルで勝負できる人なのにあからさまによそから違う人連れて来られるとちょっと目の前暗くなる…。
まーそれも楽しみと割り切ればホント楽しいんだけど…。

実は私も好きなキャラをモデルにして一人のキャラを立ち上げ、オリジナル漫画に出したことがある。
でも、多分見た人が「あ、この人あのキャラのファンだからこーゆーキャラ描いたのね」って思うくらいで、ほとんど似てなかったと思う。
(性別違うし。性格全然違うし…容姿に辛うじてイメージあるかな?くらい)
むしろその経験からいくと、何かをモデルにしてたらまんま描くほうが難しいんじゃないかと思う。
もともとその(原型の)人は自分の持ちキャラじゃないんだもの。
イメージにもとネタがあったとしても、それとわかる形でなんてとても表に出せないのが「普通」の神経だと思う。
(ファン心理から来る恥ずかしさってモノもあるし)

私も恥はたくさんあるし、許してもらったこともたくさんある。
だから断罪めいたことは言いたくないし言えない。
しかし「あんな程度のこといいじゃん」と思う神経の人ならばなぜ「騒がれて損なのに”そんな程度のこと”をわざわざするのか」と疑問を抱かずにいられない。

さておき、今回読んだ記事の根っこは、最終的には「人間性」だったと思う。
盗用にしろそれに付随する騒動にしろ。
盗用以外でも、常習な人って罪悪感ないんだろうな。
所属する業界のガイドラインを倫理として欠いてる人って、やっぱ追放されても仕方ないと思う…。

ともかく意外なことがたくさんあって、そう言う意味でちょっと怖い思いをした。

…気をつけよう。

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